ここ数年、実家をどうするか?で悩む人が一気に増えています。
人口減少や高齢化が進む中で、実家=資産と言い切れない時代。
むしろ、維持や税金の負担が重く、「負動産(ふどうさん)」と呼ばれることもあります。

友達でも実家の相続に悩んでいる話を聞くようになったよ。

特に北海道などの地方都市では深刻な問題になっているね。
さらに2024年4月から、相続登記が義務化されました。
これまで放置していた名義も、3年以内に登記しなければならず、違反すれば10万円以下の過料の対象になります。
そんな中で、「北海道のような広い土地をどうすればいいのか」と悩む人は少なくありません。
この記事では、北海道全体の実情と札幌市内の不動産動向を踏まえながら、登記義務化後の建設的な選択肢を整理していきます。
登記義務化で何が変わったのか

まずは義務化になった相続登記について。
登記をしないと起きること
登記を済ませることは、責任の明確化と資産の整理につながります。
北海道で空き家にするリスク
💡 ポイント
北海道の実家は雪や広さの影響で管理が大変です。
空き家にする前に、売却・リノベ・賃貸・家族信託など、負担を減らす選択肢を検討しましょう。

もし空き家のままにしていた実家が、雪の重みで崩壊したら?

北海道ではありがちなケースだね。それによって起きてしまった被害責任は、相続人にあるよ。


空き家は、相続で名義を持つ人が管理責任を負います。住んでいなくても放置すると雪害や隣家への被害などで損害賠償の対象になるため、雪下ろしや保険などの対策が重要です。
相続登記の費用と期限

深刻な空き家問題を避けるために、なおさらきちんとした手続きが必要なんだね。

その通り。相続登記しない限りは売却もできないから。
登記費用はいくらかかる?
相続登記にかかる費用は、「登録免許税」+「司法書士への依頼費用」の2つで構成されます。
登録免許税
- 固定資産税評価額 × 0.4%
例:評価額1,000万円の不動産なら、登録免許税は4,000円。
※実際の売買価格ではなく、あくまで固定資産税評価額が基準です。
司法書士への依頼費用
- 相場は3万〜7万円前後。
相続人の数や必要書類の量によって変動します。
自分で登記申請することも可能ですが、戸籍の収集や書類の不備などで手間取るケースが多いため、専門家に依頼する人が多数です。
目安としては合計で3〜10万円前後が一般的です。登録免許税自体はそこまで高額ではありません。費用をなるべく抑えたい人は自力で手続きを。ただし時間・労力・トラブル防止をお金で解決したい人は司法書士に任せましょう。
➡しほサーチ お近くの司法書士を検索 | 日本司法書士会連合会
登記の期限はいつまで?
2024年(令和6年)4月1日から施行された相続登記の義務化によって、相続登記をいつまでも放置することができなくなりました。
- 相続登記の申請期限は、不動産を相続で取得したことを知ってから3年以内に申請する必要があります。
期限を過ぎた場合は、過料(最大10万円)の対象になる可能性があります。

過料とは罰金ではなく、行政上のペナルティです。
固定資産税について
親名義の不動産の固定資産税は、亡くなった年の1月1日時点の所有者に課税されます。
万が一生前も含めて未払いがあった場合は、相続財産からさかのぼって支払われるのが原則です。登記を相続で移した後は、翌年度以降の税金は新しい名義人(相続人)が負担します。
生前にできる対策はある?
相続登記そのものは亡くなった後に行う手続きですが、生前のうちに準備できる対策はあります。
生前贈与

そっか。こっちの方が費用や手続きはかさばるんだ。

ただし、親の意向を汲むことができるね。相続争いを防ぐこともできるよ。
北海道の不動産は慎重な判断が必要
北海道の土地は広く、郊外では固定資産税や除雪・草刈りといった管理コストがかかります。
そのため名義を変えた後、どう維持するか?を早い段階で決めておくことが大切です。
一方で、札幌・千歳・恵庭・苫小牧などの都市部や通勤圏では依然として需要があります。
特に札幌市内のマンションや地下鉄沿線の戸建ては、一定の買い手がつきやすい状況です。

最近はニセコや富良野などの地価が上がっています。
札幌市内でも条件次第で価値が変わる
戸建て住宅の傾向
かつては「大きな家=資産」とされていましたが、今はコンパクト・省エネ・駅近が重視されます。
敷地が広くても駅から遠く、冬の除雪が大変なエリアは、やや売りにくい傾向に。
マンションの傾向
- 地下鉄沿線(南北線・東西線・東豊線)や再開発エリア(東札幌・発寒南・宮の沢など)は人気が高い
- 築年数よりも管理体制・修繕履歴・立地が重視される

古くても利便性の良い立地のマンションの価値は上がっているよ。

レトロマンションブームもあるね。リノベして住みたい若い世帯が増えている。
札幌通勤圏で注目される地域
恵庭・千歳・北広島・苫小牧などは、工業団地や再開発による雇用需要があり、土地需要が安定しています。
さらに、観光投資の面ではニセコ・倶知安・洞爺湖周辺が根強い人気を誇ります。

ただし観光投資物件にはブームがあります。旬の地価は信頼できるデータで確認しましょう。
実家の価値を知る方法
「どの地域の土地が今どうなっているのか」を客観的に知るには、国のデータが最も信頼できます。
ここでは、北海道の不動産を考えるうえで役立つ3つの公的情報源を紹介します。
① 国土交通省「地価公示・都道府県地価調査」
➡ 地価・不動産鑑定:地価公示 – 国土交通省
全国の標準地価格が毎年更新され、北海道内の市町村別の地価傾向もわかります。
札幌・千歳・倶知安など、地域ごとの地価推移を見るのに最適です。
② 総務省「住宅・土地統計調査」
➡ 住宅・土地統計調査 令和5年住宅・土地統計調査 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口
空き家率や住宅ストックの変化を把握できます。
北海道の空き家率は全国平均より高めで、所有リスクを考える判断材料になります。
③ 国土交通省「全国版 空き家・空き地バンク」
➡ 建設産業・不動産業:空き家・空き地バンク総合情報ページ – 国土交通省
地域ごとの空き家情報を一元化しており、活用できる実家探しにも役立ちます。
放棄せずに「必要な人に使ってもらう」という選択肢を考える際におすすめです。
実家を活かす4つの選択肢
登記を済ませたあとは、「どう活かすか」を考える段階に入ります。
単に手放すだけではなく、暮らし全体の見直しのチャンスにもなります。
① 売却して現金化する
維持が難しい場合の現実的な選択。
ただし焦って売ると安くなるため、複数業者で査定を比較するのが基本です。
② 実家に住み替えてリノベする
今の自宅を売却し、その資金で実家をリノベーションして住む選択も有効。
冬の断熱性能を上げることで、光熱費削減にもつながります。

③ 賃貸・二世帯住宅として活用する
札幌中心部や大学周辺なら、賃貸需要もあります。
リフォームで二世帯対応にして、家族全体の生活コストを抑える例も増えています。

④ 相続放棄という選択肢
相続放棄をすれば不動産の負担を避けられますが、預金など他の財産も放棄することになります。
また、一人の判断ではトラブルになりやすく、相続人全員での合意が必須です。
司法書士・弁護士など、専門家に相談してから手続きを進めましょう。
「現金は相続したいけど、負動産は放棄したい」ということはできません。相続した現金で不動産を適正に整理しましょう。そのうえで負の財産になるようであれば、全ての相続を放棄する方法があります。
親世代が子どもに負動産を残さないために
実家をそのまま残すことにこだわると、将来的に子どもが管理に苦労する可能性があります。
北海道の雪や広い敷地の負担も考えると、親世代のうちに建設的な準備をすることも重要です。
1. 生前贈与や名義変更
- 元気なうちに不動産の名義を子どもに移すことで、誰に渡すかを明確にできる
- 登録免許税や贈与税の負担はありますが、相続争いを防ぐ効果があります
2. 家族信託や遺言書の活用
- 家族信託:親が判断能力を失っても、子どもが代わりに管理・売却可能
- 遺言書:希望を明確に残し、相続トラブルを防止
3. リノベ・賃貸など資産活用
- 空き家にせず、賃貸やリノベで価値を維持
- 将来の負担を減らしつつ、収益化の可能性も

4. 元気なうちの住み替え
- 「手放す=悪いこと」と考えず、生活と未来を見据えた合理的な判断が大切
- 親自身が元気なうちに引っ越すことで、空き家リスクを回避

家をそのまま残すことにこだわるのではなく、売却して資金として子どもに残すという考え方も重要です。物理的な建物よりも、生活や思い出、お金として次世代に価値を渡す方が、北海道のような雪や広い土地の負担を減らす現実的な方法です。

一生懸命働いて建てた大きな家ほど、思い入れが強いかもしれないね。

でも時代は、
「大きい&広い」→「コンパクトで利便性がよい」
「所有」→「レンタルやシェア」
「定住」→「住み替えや移住」
にシフトしているよ。
相続登記はゴールではない
登記義務化によって、これまで先延ばしにしてきた問題が明確になりました。
しかし、それは悲観すべきことではありません。
登記は家族の資産を整理し、次の暮らし方を考えるチャンスでもあります。
北海道の広い土地と気候、そして家族のこれからの暮らし。
売る・住む・貸す・放棄する——どの選択肢も正解になり得ます。

大切なのは、現実に合った選択を家族で話し合うことです。

本当に負動産?という視点も大事だね。実家を生かせる最適解は人それぞれ。
今の時代、都会に住むことだけが正解ではありません。リモートワークや生活インフラの整備も進み、地方都市でも快適に暮らせる選択肢が十分にあります。リセールバリューよりも自分たちのライフスタイルに合った心地よい住まい方を考えてみてはいかかでしょうか。




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