「老後資金は2,000万円必要」「いやいやそれじゃ足りない、5000万円ないと不安」といった論争がたびたびなされます。
一方で近年は、「老後にお金を残すより、元気なうちに使う」という考え方も注目されています。
その象徴的なキーワードが急速に広まるきっかけになった書籍が、
『ダイ・ウィズ・ゼロ(Die With Zero)』です。
私自身、40代後半に突入した会社員で、50代をめどに退職してセミリタイア生活に入ろうと考えています。
パート勤めの妻と、数年後に独立を控えた子供が1人の核家族です。
「50歳からは家族で思い出を作り、旅行も楽しみたい。けれど資産の目減りや将来の年金も気になる」──同じような思いを持つ方に向けて、私が考えているプランを具体的にシェアしたいと思います。
目次
50歳で仕事を辞めたら年金はどうなる?

もし早めにリタイアした場合の年金はどうなるのかしら?損はしない?

これまで加入していた実績は蓄積されるから、損になることはないよ。
年金の受給見込み
国家公務員共済組合や厚生年金に長く加入してきた場合、退職して国民年金に切り替えても、過去の加入実績はしっかりカウントされます。
例えば47歳まで国家公務員共済(厚生年金相当)に加入し、50歳で退職・国民年金に切り替えるとします。
50歳から65歳まで国民年金を満額納めれば、65歳以降の老齢基礎年金(約80万円/年)+これまでの厚生年金相当分が上乗せされます。
現役時代の年収や加入年数にもよりますが、ざっくり年額180〜200万円程度が期待できます。夫婦合わせると300〜350万円/年ほどになるイメージです。
任意加入制度・追納制度
60歳以降に未納があれば任意加入する制度もありますし、「国民年金基金」や「付加年金」を上乗せする方法もあります。
iDeCo(個人型確定拠出年金)は国民年金第1号でも拠出可能ですが、国民年金保険料を免除している間は掛金を出せません。この点は注意が必要です。
リタイア後の健康保険と国民年金の負担額

いままで会社側が負担してくれていた分が、のしかかってこないのかしら?

そこは十分、考慮する必要がある支出だよ。
退職後は「国民健康保険」と「国民年金」を自分で納めることになります。
国民年金:1人あたり月約1.7万円(年約20万円)
国民健康保険:前年の所得や自治体によって異なりますが、夫婦で年40〜60万円程度が目安
つまり夫婦二人で年60〜80万円くらいを見ておくと安心です。
もし退職直後に前年の所得が高い場合、国保の保険料が跳ね上がることがあるので、退職前に市役所で試算してもらうのがおすすめです。
バイトやパートで年120〜180万円の収入を確保

リタイアといっても、収入源を一切断つワケではないよ。

節約だけのカツカツ生活はイヤよね。
完全な無収入ではなく、少なくとも夫婦で月10万円前後(年120万円)、時給の高いところなら月15万円(年180万円)程度のバイト・パートを想定しています。
週3日×8時間(24時間/週) もしくは週5日×5〜6時間(25〜30時間/週)
このくらいでも、生活費+社会保険料をカバーでき、資産の取り崩しは「旅行や特別支出」に限定できます。
精神的にも「完全無職」より安心感がありますし、社会とのつながりを保てるメリットも大きいです。

残りの人生を楽しむことが目的なので、シフトに縛られない働き方が理想かも。

これからますます、スポットバイト的な需要は増えるんじゃないかな。
今ある投資資産の運用利回りをどう見るか
投資信託(例:オルカン=全世界株式インデックス)の過去20年の平均年率リターンは約6〜7%ですが、これは米国株の強さに引っ張られた数字です。
直近5年は特に米国のIT株が好調で異常に高いリターン(年率15%超)を記録していますが、これはあくまで例外的な好調期です。
今後20年を考えるなら、実質3〜4%程度の利回りで計画を立てる方が安全です。これならインフレを差し引いても元本が大きく減りにくく、心理的にも落ち着きます。

見通しは、考えうる最低の基準で計画を立てることが大切。

景気や時流に左右されやすい投資は、避けた方がいいわね。
生活必要経費の見直し・縮小も大切
50代からの人生設計では、収入や資産だけでなく、支出をコントロールすることも非常に重要だと考えています。
生活必要経費を少しずつ縮小させることで、資産の取り崩しスピードを抑えつつ、自由に使えるお金を増やせます。
具体的には次のようなことを視野に入れています。
- 車を早めに手放す
車の維持費(車検・保険・ガソリン・駐車場など)は意外と大きな負担です。都市部であれば公共交通やカーシェアで十分対応できると考えています。 - 子どもが独立したら小さな部屋に住み替える
ルン家はずっと賃貸住まいですが、夫婦だけになれば広すぎる住居や部屋数は必要ありません。利便性の良い住環境を探しつつ、家賃や光熱費の削減につなげたいと思います。 - 食費や日用品費の削減
子どもが家を出れば、夫婦2人分の生活費は自然と下がります。食事量も減るので、まとめ買いによるストック量を減らしたり、胃袋に見合った食生活を心がけて健康にも配慮していきます。
これらの工夫は「生活の質を落とすこと」とは違います。
むしろ必要な支出を見極め、余裕を生むための最適化です。その結果資産を守りつつも、必要なところには自由にお金を使える状態をつくることができます。

株主優待のおかげで、外食の機会には恵まれています。

生活必需品や着るものまで、優待で賄っているものね。
「ダイ・ウィズ・ゼロ」をどう実践するか
私が意識しているのは「50代で使うお金は、60代以降より多めに設定する」ということです。

ダイ・ウィズ・ゼロを読んで、最も刺激を受けた考え方です。
50〜60歳:体力も気力もあるうちに旅行や体験にお金を使う
60歳以降:支出をやや抑えて、趣味や近場の旅行・ゆったりした生活へシフト
こうすることで、資産の分母が減って配当や複利効果が目減りするリスクはありますが、「お金の使いどきを逃さない」ことの方が人生の満足度に直結します。

たしかに!歳を重ねるごとに、旅行を満喫できる自信は減っていくかも…
リタイア後~旅行に年間いくらまで使えるか?
夫婦で生活費はパート収入で賄える想定なので、旅行や特別支出に年間150〜200万円くらいまで充てても、現在の資産を大きく減らさずに済む可能性があります。
例えば、
海外旅行(ヨーロッパ2週間):夫婦2人で約100万円
国内旅行(1回あたり10〜20万円×数回):年30〜50万円
子供との家族旅行:+50万円
こんなイメージで計画しておくと、「今年はここ」「来年はあそこ」と楽しみながら使えます。

これも、今まで積み立ててきた投資信託のおかげよね。

複利の恩恵はすごいよ。資産の大半を、強制的に投資に回してきたからね。
家族の思い出づくりに最適な旅行先
リアルな数字が見えてくると、旅行計画にも具体性が増してきます。
特にルン家は、これまで長期間の休暇を取得して旅行する習慣がありませんでした。なので、余計に死ぬまでに見てみたい景色がたくさんあります。
例えば・・・
ヨーロッパ周遊(フランス・イタリア・スペイン):美術館、世界遺産、街歩き
アメリカ(ニューヨーク・西海岸):自由の女神、ブロードウェイ、グランドキャニオン
オーストラリア・ニュージーランド:都市観光+大自然
アジア近場(台湾・韓国・タイ):短期旅行・グルメ・コスパ
まだ体力のある50代でこそ楽しめるプランばかりです。

そのためにも健康でいる努力をしなきゃ!
副収入や小さな挑戦も視野に
ブログ、YouTube、物販、ハンドメイド、資格活用など…パートと並行して「副収入のタネ」となりそうなプラットフォームが増えています。
これらの情報をキャッチして、自分に合ったものを試していくことも大切だと思っています。

結果的に趣味が仕事になり、定年後の生きがいにつながるかもね♪

ただし情報の精査は必要。今後はダイ・ウィズ・ゼロを意識した商売が増えてくる可能性もあるからね。
「ダイ・ウィズ・ゼロ」を実現に向けて
ここまでの計画を、改めてまとめていきます。
50代は「まだ体力がある」「子どもが独立」「資産もある」という三拍子そろった黄金期です。
老後のために我慢するよりも、家族で思い出を作り、自分たちの人生をデザインしていく好機といえるでしょう。
一方で、「親の介護問題」や「物価上昇によるお金の価値の目減り」など、考慮しなくてはいけない問題もあります。新しい疫病や紛争が自分の生活を脅かすかもしれません。

不安要素を考えたらキリがない…

そう。大切なのは、自分たちの人生をどうしていきたいか!
先行き・世の中の動向・人の目や恩義を気にしていては、変化を恐れてしまうだけです。
感謝の心を忘れず、信頼関係を大切に、自分たちが主役の残りの人生を地に足をつけながら楽しんでいきたいと思います!
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